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牧山康志
国政のガバナンス広場
​ブログ

国連人権高等弁務官事務所への拠出金

makiyama@allgovern.com

◎脱線 日々コラム1


「政府の皇室典範改正勧告の国連委員会への対応」


 女性差別撤廃条約を批准している各国の取り組みを定期的に審査している国連の委員会が、去年2024年10月、日本政府に対し、皇位継承における男女平等を保障する必要があるとして、皇位は男系の男子が継承すると定めている皇室典範を改正するよう勧告した件に対応して、委員会の事務を担うOHCHR=国連人権高等弁務官事務所に対し、日本が任意で拠出している資金を、委員会の活動に充てないよう求めるとともに、今年度、予定していた委員の日本訪問を取りやめることを、2025年1月27日伝達したと明らかにした、とされます。(外務省・外務報道官の発表としてNHK)

 

 これは、日本国民と日本の皇室の誇りとを地に貶める卑劣な対応になったと感じます。なぜなら、拠出金と委員会が下す勧告の内容とを結びつけるということは金と結果を結ぶ、すなわち、拠出金があたかも自らに好ましい結論を導くための賄賂であったかのように、位置づけることになるからです。そうなれば、日本・日本人の誇りと、国際的な立場、さらには、外交における最も重要な友好と価値観の共有とを著しく損なうこととなり、それはあるまじき対応というべきものです。


 したがって、政府は即刻、謝罪撤回し、「皇室に係る事項は国民的な重要事項であるから、時間をかけて慎重にその在り方を検討していく」というような対応に留めるよう変更すべきであると考えます。 実際、皇位の継承のあり方については検討されており、国民が参画しての十分な検討・議論が必要な事項であるわけです。


 政府が外交を為す際には、国際社会において日本の立場を、より地球規模の人望と国際的な評価を高めるべく行動するべきであって、今回の対応は、その真逆であると解すべきと考えられます。このことは、同時に日本人の誇りをも傷つける、国民を愚弄する行いにもなっているといえます。

 そうであるとすれば「君子は豹変す」とは、このような事態において、どう対応するかのためにあると心得るべきともいえ、即時に対応することが望まれると考えます。

 

 拠出金はあくまで、この地球上において人権が守られるよう、女性差別を撤廃するための活動をも含んで支援する目的であり、我が国がそれを支援することを国民が望んでいるという意思の表現としての価値をもつものなのです。

 本当の「プライド」とは何か、そうしたことを考えるべき事例とも感じます。

 なお、拠出金は年額2,000~3,000万円程度となるそうです(外務省としてNHK)。


 国連の大きな役割、平和の構築・維持と人権の擁護、これらをどのように理想に近づけるかは、今後に引き続く極めて重要な政治のテーマ・政治的課題であると考えられます。

 このブログでもこの先、取り上げていきたいと思います。

 
 
 

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